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マネキネコ(ゲームレビュー)

同人フリーゲームのレビューをしております。 たまに、アニメなどの話題も。

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ファタモルガーナの館
制作:ノベクタクル
ジャンル:ウェブ連動型メタファンタジー

一部流血・暴力表現など過激な描写が含まれます


安心と安定のローズ兄妹。 序盤では彼らのツッコミが冴え渡ります。


彼については………もう何も言うまい。


先ほど、ようやく「セブンスコート」クリアしましたー。

ようやく、ようやくやっとなんだよ……。

なんというか............今、とてつもない疲労感に襲われています。
こんな遅い時間にやるんじゃなかったと激しく後悔しております。

精神的にズシッと疲れているはずなのに眠れないというこの現状。
こんなのすっごい久しぶりの感覚ですよ(笑)
一度、読み始めてしまったらあとはただ、グイグイと引き込まれるだけでしたね。
先が気になって気になってしょうがなくって。
その結果、私は今、とてつもない疲労感とちょっとした喪失感を味わわされているワケです。
多分、ちょっと魂持ってかれちゃったからなんじゃないでしょうか、この「セブンスコート」に。

でも、「セブンスコート」をプレイしたこと自体は後悔していません。
むしろこの作品に巡りあえた事が何よりの幸運と感じています。

この作品に出会えて、良かったなと思います。
ノベクタクルさん、本当にありがとうございました。


――さて。

なんだかいつもと違う切り口の記事なわけですが、テンションだいぶ高めです。
真夜中にブログを書いているからですね!
変なこと言ってても、夜中のハイテンションのせいということにします。

本作は2013年のエイプリルフールに「ファタモルガーナの館」を制作されたサイト・ノベクタクルさんによって配布された、ウェブ連動型パラレルノベルとなっております。

「ファタモル」本編の人物が登場するという所謂スターシステムに則り、外見と名前を引き継いでいるキャラが登場しますが、細かい設定などが違っています。
本作はパラレルものですのでファタモル本編を知らなくても楽しめますが、やはりあらかじめ知っている上でやるとまた違った楽しみ方もありますので、事前に本編の体験版をプレイしてからの方が良いかも。

今作は「ウェブ連動型」ゲームとのことで、公式サイトには本作の主人公・ミシェルが作中にて運営しているという設定のサイト「ロワイヨムヘブン」が実際にアップされています。
このサイトのBBSの内容に数々の重要な伏線が張られているので、プレイ前にざっと目を通しておくことを強くお薦め致します。
プレイし終えた今、もう一度「ロワイヨムヘブン」を眺めると、本作の伏線の濃密さを隅々まで体感することができます。


主人公・ミシェルはいまいち売れないインディーズゲームクリエイター。
彼が細々と運営する、底辺の底辺とでも言うべき弱小インディーズゲーム制作サイトのBBSは、数名の常連ユーザーと荒らしの溜まり場と化していました。

一向に新作ゲームをアップロードしない「ロワイヨムヘブン」のBBSは荒れる一方。
そんなある日、サイトの管理人のミシェルことDark†Knightから突然「エイプリルフールに、新作を出す」というコメントがサイト上に現れる。
そしてエイプリルフール当日、「セブンスコート」という名前のゲームがサイトにアップロードされますが…。

そのゲームをダウンロードしたユーザー、そして制作者のミシェルまでもが「セブンスコート」のゲーム世界へと飛ばされてしまい、彼らは現実世界へ戻るため命がけのRPGに挑みます。


以上の文章がざっくりしたあらすじ。
そして、以下はネタバレ満載の雑な感想となっているので、一旦記事を折り畳みます。
ネタバレOKの方のみ、「つづきはこちら」からどうぞ。

拍手[6回]







私にはどうも、このゲームに手を出すのを妙に躊躇っていたフシがあります。
理由としては、ファタモルの世界観にあんまり詳しくなかったこと(現在は製品版をプレイ済みです)と他の方のレビューを見て異常にビビッてしまったことかと......。

本作があちこちで絶賛されていると同時に「重い」という評判も同じくらい存在していたので。
実は、何回もプレイをちょっと止めにしようかなと思っていたりもしました。

でも、この時既にファタモル本編の方で数々の絶望感を味わった自分としては、
「いやぁもうさすがに本編のアレ以上のモンは出ないだろう」と心に余裕のある状態で挑んだのですが。

結果。


胸が苦しい......


後半、ガチで辛かったです。序盤がすごく楽しかっただけに、余計辛い。心に大ダメージ!
ミシェル......うわぁぁああああ!!

「セブンスコート」という名のRPGに潜む真実は、残酷なものでした。
それは、私が実際かなりの量のフリーゲームを見たことのある立場だからこそ、余計に「分かってしまう」という辛さがそこにはあります。

プレイしている最中、人間って本当に弱い生き物なんだなと痛感しました。
人間はどうしようもなく脆弱だし、醜さからよく目を逸らしてしまうし、また時には平気で残酷な行動も取ってしまう。
そして、人の「無知」から発生する「悪意無き暴力」こそが一番恐ろしい。

「知らなかった」だけでは済まされない。
「仕方が無かった」だけで解決するものは一切存在しない。
これらはインターネットという一見便利なように見える文明の利器の中に潜む、どうしようもない「膿」の恐ろしさの一部です。
フリーゲーム、もしくはインディーズゲームというジャンルだからこそ生まれる、制作者とユーザーの間の大きなジレンマに苦しめられる人間も確かに居るということを忘れてはいけないのでしょうね。


「彼」はある発端により、純粋な人間から人々に絶望を振り撒く悪魔に変貌してしまいます。
彼のあまりにも歪で悲しい絶望の形と、彼が取ろうとしたあの行動こそが「悪意」という感情の全てを物語っているように思えます。
実際、[あの映像がもし出回ってしまったら]と思うと……それだけでやるせなくなってしまいます。

ミシェルも、ネリーも、ヤコポも、そしてイメオンも、皆それぞれ心の中にどうしようもない弱さと絶望を抱えていて、一人ではそれをどうにかする術を持っていない。
だからこそ彼らにとっては、お互いの傷を曝け出し、共に歩んでいく未来こそが最上の「救い」なのでしょう。

全てをプレイし終え、エンディングからタイトル画面に戻った時の演出には思わず鳥肌が立ってしまいました。


なかなか重く、物悲しい物語でしたが胸に確かに残るものがある、素晴らしい作品でした。


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